コンサMさんのこと

大阪のコンサーティナのMさんが2月7日に亡くなったと聞いた。


ぼくの去年の思い出のひとつは、アイルランドに行ったことだ。
ぼくは2010年からティンホイッスルを習っていて
その矢先の8月に富山に転勤となった。
笛の先生に富山の笛の仲間を紹介してもらい、11月に合流した。
富山ではトラッドセッション立ち上げ期であり、試行錯誤していた。
昨年、仕事で節目休暇がもらえることになり、思い立ってアイルランドに行った。

アイルランドがどういうところなのか、
セッションって何なのか、
アイルランドでのパブとはどういう存在なのか、
知りたかった。

事前にその筋の先輩方に情報をいただいて、
日本人も何人か集まることを知った。
その一人がMさんだった。

MさんはマツMatsuと名乗っておられたが、
おおかたの外人はうまく発音できずマチューMathewと呼んでいた。

Mさんは毎年Scoil Aclaに行っている「アキルに魅せられた男」だった。
Mさんは外人の間でもよく知られていた。
Mさんの訃報はfacebookのScoil Aclaのアカウントにも載った。

ぼくたち日本人のほとんどは1晩1500円のドミトリーに泊まっていたが
Mさんは、歳やから、と近くのB&Bに泊まっていた。
Mさんは日本人で唯一レンタカーを借りていて、よくお世話になった。
Mさんはドミトリーにもよく来て、
ピックアップしに来たりセッションをしたりしていた。

Mさんは大阪でセッションのオーガナイザーをやっていて、
ぼくはセッションについていろいろ聞いた。
「新しい人が来たらどうしますか?」
「トラッドじゃない曲が出たらどうしますか?」

Mさんはアイルランドや楽器の話に詳しかった。
「コンサーティナは安かったから貧しかったアイルランドで使われたんやで」
「コンサーティナは小さいから船乗りがよく使ってたんやで。映画とかでよく映ってるで」
なかでも、コンサーティナを発明したのはホィートストン、
ていうのが電気系のぼくには響いたトリビアだった。
アキル島の道端にはあちこちにでかいキャベツみたいな植物が生えていて、
「あそこにはBansheeがおんねんで」と教えてくれたりした。

Mさんたちとシーフードレストランに行った。
ロブスターを注文しても何年も「今日は無い」と言われて続けて食べられなかったらしいが、
当日の朝、地元の漁港に水揚げを見に行ったMさんが
「今朝港であがってるの見たで」とウェイトレスに伝えたら出てきた。
みんなでおいしくいただいた。


Mさんと富山の仲間にはもうひとつつながりがある。
フィドルのJ君は大阪に居たとき、
マーフィーズに行って一緒にセッションしたいと言ったそうだ。
マーフィーズにはときどきそういう若者が来るそうで、
「仕事についてから来い」とたしなめるそうだが、彼もそのようにたしなめられたらしい。
富山に戻る前にフィドルを入手し、
Down by the Sally gardensを練習してマーフィーズで初めて披露したそうだ。
Mさんがそのことを覚えていたと彼に伝えると、とてもうれしそうだった。


ぼくもいつかマーフィーズに行ってセッションしようと思っていたのに。
残念です。

Mさんと過ごしたのは1週間でしたが、何年も付き合いがあったように感じます。
なんだかとりとめがない文ですが、Mさんのご冥福をお祈りいたします。
[PR]
# by toaster | 2013-02-10 00:49 | 音楽

アイルランド旅行記(5)~英会話はテンションあがる、他

旅行に行く前にプランを話すと、
「若いっていいな」とか「学生ノリやな」とか言われたけど(ちょっとうれしい)、
若くない人は、効率的な移動手段とか宿泊施設のランクアップとかガイドつけるとか、
お金の力を使って行く方法もある。時間をかける方法もあると思う。
実現する方法はいくらでもあるので、遠いし若くないから行けない、
と理由をつけてやりたいことをあきらめるのはもったいないな。
(旅行に限らず…ぼくはいつか動物を飼いたい)
サマースクールに来ていたのはアイルランドの子供たちが多かったけど、
オーストラリアから飛行機を5回乗り継いできたおばちゃんもいました。
「アイルランドに魅せられた男」コンサMさんは毎年行っているそう。
パイプスMlは40歳前後だけど、パイプスをやり始めた。


アキルで「日本が好きだから」という理由で、
初めて会ったご家族にビールやご飯をごちそうになった。
リアル「田舎に泊まろう」みたいで勝手に感動した。
娘さんは京都の大学で勉強していて、ご家族は今年日本に来たそう。
ありがたいことだ。
また、日本人のフルートプレイヤーのことも言っておられた。
(この業界はまだ詳しくないぼくも、たまたまも知っていた。)先人に感謝。


外国に行くと、時間感覚が違っていて、
普段せかせか働いているのがあほらしく思えてくるな。
(せかせか働いたせいで旅行に行けた、というのはある)
自分の時間を持つこと、憩いの時間を持つこと、超重要。一生は一日の積み重ね。
あと、常々思っていたけど、日本人は過剰品質というか、完璧を目指しすぎ。
サンドイッチ食べてるとき、
「日本のサンドイッチはアイルランドのと全然違う。パーフェクトトライアングル!」
と言う話を聞いて、たしかにやりすぎちゃうかな、と思った。


バスのトラブル(乗り間違い?)でゴールウェイに泊まったとき、
あくる朝、B&Bの食堂に
「今日は、昨日悩んでいた明日。何も問題はない」
みたいなことが書いてあって、そこに宗教があれば入りそうになった。


ホイッスルで倍音を出す(オーバーブロー)ときに何が起こっているのか、
というのがいまいちわからない。
(波長が1/2→周波数が2倍、というのは知っているが定性的に理解できない)
この話はひまつぶしにいろんな人に聞いているが、今回も聞いてみた。
パイプスMさん「そんなのわかってもいいプレイヤーになれないよ」


英語はテンションあがる。
日本語は「こんにちは」なのが英語は「Hi!」て。


夏にはアイルランド中でいくつものフェスティバルやサマースクールが行われているそう。
そしてサマースクールのなかでもそれぞれのカラーがあるそう。
アキルはリラックスした雰囲気でした。"peace(平安)"と言っていた人も居て納得した。


好きなプレイヤーを見つけたいな。
あんまりプレイヤーを意識して聴いたことなかったので、これからは意識してみよう。


b0041681_17254351.jpg

[PR]
# by toaster | 2012-08-27 17:20 | 音楽

アイルランド旅行記(4)~疑問

現地に行ったら、2つのことを聞いてみたいなと思っていました。

・アイルランドにおけるパブの存在とは?
・セッションの運営について


・アイルランドにおけるパブの存在とは?
b0041681_194363.jpg

アキル島に住むフィドルLさんによると、
「パブはバーテンさんがお酒を出してくれる居間」
「パブは集会場」

とのことでした。
この時期は島中がお祭り状態となっていて、
連日サマースクールに来たチューターや参加者が
あちこちのパブで夜中までセッションしていました。
そのため、アキルでは普段のパブの様子は垣間見ることはできませんでした。

「ダブリンでは、もう昔のようなパブの使い方をしていない」
と笛のクラスで一緒だったCelestinセレスタンは言っていました。
(飲酒運転などの問題があるため)

パブで居合わせた現地の有名な画家だというお年寄りの女性が
セッションの始まりについて話してくれました。
昔、家にテレビが無かったころ、家族は居間でおしゃべりしたり、楽器を弾いたりしていた。
そこからパブでのセッションになっていった、とのこと。
(まだテレビができてから100年経ってないから、彼女も体験したのでしょう)
つまり、セッションはおしゃべりの延長線上だった、ということです。
前から「セッションってコミュニケーションだよな~」となんとなく思っていましたが
生の声を聞いて、なんだかすごいことを聞いてしまったような気がしました。
(もっと英語が聞きとれればニュアンスまでわかったのになあ…)


・セッションの運営について

セッションで有名なパブと、そうでないパブに行って、
それぞれどのように演奏しているか見てみようと思っていました。
セッションで有名なパブでは、参考になりそうな一方で、
プレイヤーは店から雇われている場合が多く、
当地でのセッションにやり方を反映するのが難しそうだからです。
(当地ではお店のご好意に甘えて、有志が集まって演奏している)
実際は、せっかく来たのだから有名なところだけ見とこう、となってしまいました。
(というか、調べて行っていなかったので、聞いて行ったら有名なところばかりになってしまった)

アキルでは各地からある程度のスキルを持った人が集まったこともあり、
普段のローカルのセッションとは違う状態だったと思いますが、
誰からともなく自然と曲出しがなされる、(ぼく的には)理想的なセッションを見ました。
b0041681_110385.jpg

また、パイプスが7台という、あまり見られないセッションも見て感激しました。
一方で、地元のプレイヤーが仕切っているセッションに
サマースクールに習いに来ている若い生徒が入り、空気を読まずに曲出しして
ローカルのプレイヤーと一体感が無い状態になっている、という場面も見ました。

ゴールウェイでは、セッション中にギターのおじさんが突然椅子に足をかけて
店中を静かにさせた後、歌いだし、その後、詩吟、
その後また店がいつもの喧騒に戻る、という、
なんだかひととき異空間に居たような…印象的なセッションでした。
b0041681_163139.jpg


結局、セッション運営についてのポイントを得ることはできませんでしたが、
「セッションはおしゃべりの延長」はヒントになるんではないかな。

セッションでのマナーについて、
自身の反省の意味を込めても書いておかなければなりません。
これは当地フィドルZさんが挙げていたリンクだったと思うけれど、
すごくわかりやすくて役に立ちました:

風紀委員|アイリッシュ・パブこぼれ話
【そのセッションをよく観察すること】
【知らない(=弾けない)曲では音を出さない】


セッションのマナー - 東京フィドルクラブ
楽器の練習をしてはいけません。
どんなセッションでも開催者がいます。
稀にエアや18番などソロ演奏のときがあります。
セッションでの録音は、主催者や演奏者に了承をとるほうがよいでしょう。
交流を楽しみましょう。


クランコラバックナンバー
2006年12月 セッションの現場 2
 パブ・セッションとは言え、現実にそれを聴く一般のお客様が居る以上は一 定の音楽レベルも保たなければならない。それなら、もう、バンドなのだから、 ステージから聴衆に向かって演奏する方が何倍も親切というものだ。だが、こ のセッションというスタイルが一種のアイルランド音楽の風物になっている以 上この形式は重要な舞台装置なのだ。  
[PR]
# by toaster | 2012-08-24 01:13 | 音楽